「基本、同じポジションなので」
藤田 プレミアリーグでプレーするのが目標なので、それに向けて頑張っています。
――以前、フランス代表のヱンゴロ・カンテ選手を参考にしている、と話されていました。
身長は168センチと高くないのに、ボール奪取能力に長けていて、相手に寄せるスピードが速くて、常にトップギア。同じような身長の藤田選手はまだ70%から80%。それが100%トップギアでできるようになるために、予測力と決断力、思い切って奪い切る力が大切だと、話されていました。
2022年からフランス代表から遠ざかっていたカンテ選手ですが、今回のEUROで復活しましたね。
藤田 カンテ選手はすごいと思います。ユーロでも2試合連続でプレイヤー・オブ・ザ・マッチをとった。どうしても点を取る選手のほうが注目されるので、ボランチの選手が2試合連続で評価されるというのはなかなかないと思うので、改めていい選手だなと思いました。
――A代表の遠藤航選手は湘南ベルマーレ、浦和レッズを経て、シント=トロイデン、シュトゥットガルト、そして現在、プレミアリーグのリヴァプールで活躍されています。藤田選手がこれから歩もう、進もうとしている道と、同じようなステップアップの道をたどっているように思います。
かつて日本を率いたトルシエ監督は「藤田選手は別格。遠藤航選手のイメージと重なる」とも話されています。30歳で移籍して現在、リヴァプールで大活躍されている遠藤選手について、どう思いますか?
藤田 過去にシント(=トロイデン)にいた選手のことを考えることは、あまりないのですが、シントはベルギーの中でも、そんなに強いチームではないし、大きいチームではないですけど、こういったクラブでしっかり活躍して、いい選手に成長できれば、次のステップも見えてくるんだなというのは、遠藤選手を見ていて、改めて感じています。
――今回のパリ五輪ではオーバーエイジ枠(OA枠)は使わないということで五輪代表には入りませんでしたが、遠藤選手と一緒にプレーする機会があったら、藤田選手のレベルアップや刺激にもなるのではないか、といったサッカー識者からの意見もありました。
藤田 どうなんですかね。基本、同じポジションなので、一緒にプレーするのは難しいというか、自分を信じてくれと思うのは、自然なことだと思います。
――もちろんです。では、最後に、パリ五輪日本代表を、そして藤田選手を応援しているファンの人々に向けてメッセージをお願いします。
藤田 そうですね。優勝目指して頑張るので、よろしくお願いします。
藤田譲瑠チマ(ふじた・じょえる・ちま)
2002年2月16日生まれ、東京都町田市出身。ナイジェリア人の父と日本人の母との間に生まれ、小学生時代は町田大蔵FCでプレー。東京ヴェルディの下部組織で才能を伸ばし、2019年9月にトップチームデビューを果たす。その後、当時J1の徳島ヴォルティスから横浜F・マリノスを経て、2023年7月にベルギー1部リーグのシント・トロイデンへ完全移籍。日本代表デビューは、2022年7月の香港戦。4月にカタール・ドーハで開催されたU23アジアカップで、キャプテンとして日本代表を優勝に導き、自身も大会MVPに輝いた。パリ五輪出場を決めた準決勝のイラク戦では、長短2種類のパスで2アシストし、2-0の勝利に貢献。その広い視野、デュエルの能力、正確な技術、試合の流れを読む洞察力は、A代表の遠藤航(リヴァプール)以上との評価も。大岩剛監督の下、7月25日(パラグアイ戦)からのパリ五輪に挑む。ポジション=MF。身長175cm、体重76kg。