パリ五輪の開幕が近づいている。4年に一度のスポーツの祭典とあって、さまざまな競技が注目されているが、サッカー女子日本代表にとっても、大きな意味を持つ大会だ。なでしこジャパンは、どのようにオリンピックに臨むべきか、サッカージャーナリスト後藤健生が考察する。
■池田監督が「システム変更しなかった」理由
さて、一つの課題として考えられるのは、前半、相手が退場者を出した後、攻撃がうまく噛み合わなかった時間帯での対応だ。
選手たちの声を聞いても「うまくいっていない」、「何かを変えなければいけない」と、もどかしさを感じていたようだ。
では、前半のうちに3バックに変更することはできなかったのだろうか? それとも、プレー中の変更に不安があるのか?
試合後の会見で、その点を池田太監督に質してみたところ、回答は明確なものだった。
「前半に変えることも考えていたが、同じ形のままでどういう気づきがあるのかを見たかったので、システムは変えずに観察していた」(監督の言葉通りの引用ではなく、要約)
つまり、「変えようと思ったら、いつでも変えられる」ということでもあるのだろう。だが、池田監督はシステム変更によって問題を解決してしまうよりも、そのままの形で選手たちがどう反応するのかを見たかったのだ。
6月のワールドカップ2次予選のシリア戦で、男子日本代表は前半は3バックで戦い、後半は4バックに変更するテストをした。シリアの試合展開という意味では、必要はなかった変更だった。森保一監督にとってはテストの意味合いが大きかったのだろう。