■日本の大きな武器となる「2つのシステム」
2022年のカタール・ワールドカップ直前にようやく3バックの形もこなせるようになった男子日本代表。カタール大会では、そのシステム変更を有効に使ってドイツとスペインを倒したものの、今でもやはり自由自在に2つのシステムを使い分けるには至っていない。だからこそ、シリア戦ではハーフタイムでのシステム変更が話題になったのだ。
だが、女子代表はそれよりはるかに先を行っている。
もともと、伝統的に4バックで戦ってきた日本の女子代表(なでしこジャパン)。2021年に就任した池田監督は、ワールドカップまで1年を切った2022年夏になって3バックに取り組み始め、ワールドカップでは3バックを基調に戦ってベストエイト進出を果たした。
すると、それまで最終ラインの中心だった熊谷紗希をアンカーで起用する4バックにトライし始めて、それもようやく板についてきたところなのだ。
熊谷というチームの中で最も経験値が高い選手がセンターバックもアンカーもこなせるので、システム変更もスムーズに行く。なでしこジャパンの場合、試合の途中でシステムを変えても話題にもならないくらいに熟成してきているのだ。
前半は、敢えてシステム変更をせず、後半になって変更によって問題を解決してしまったあたりに、チームの完成度の高さを感じたのは僕だけではあるまい。
たった18人の選手で、中2日で6試合を戦うオリンピック。選手個人個人のポリバレント性とともに、2つのシステム(前の組み方を変えれば、さらに種類は増える)を自由に使いこなせるというのは日本の大きな武器となるだろう。