■行かない、取り囲まない=「非常に良い」
「新しいアプローチ実施の結果は、良好と言える。レフェリーはキャプテンに必要な情報を与え、キャプテンは非常にポジティブな態度でそれに応えている」
UEFAの審判部長であるロベルト・ロゼッティ(イタリア)は、7月5日に行われた記者会見でそう話した。
「他の選手のやるべきことは簡単だ。レフェリーのところに行かない、取り囲まない。だから、これはサッカーにとって非常に良い方法なのだ」
「今大会では、このルールを守らなかった選手に対して罰則を下したこともあった。今は新方式に移り変わる時期だが、われわれのもとには、いくつもの加盟協会からこの試行に加わりたいという要望が寄せられている」
UEFAのことだから、IFABの通達を無視したということではなく、なんらかの了解を得ての今大会での実施だったに違いない。ただ、それに対してIFABからのアナウンスは何もない。
UEFAが先走ってサッカーのルールを変えてしまった(それができるのはIFABだけのはずだが…)「キャプテンオンリー」。しかし、現在の世界のサッカーの「パワーバランス」を考えれば、来年のIFAB年次総会で正式に「ルール改正」として認められる可能性が高いと思われる。
Jリーグでも、近年、PK、得点、退場など重大な判定で、理解しにくいと思われるときには、レフェリーが選手に説明するシーンが見られるようになった。それは、ルールがどうなっているかに関係なく、人間と人間として、あってしかるべき行為でないかと思う。
レフェリーがキャプテンというチーム内で認められた存在と話し、そのキャプテンがレフェリーの最終決定を尊重してチームメートに伝えることで、「サッカーで最も醜いもののひとつ」を撲滅できるなら、このルール改正を否定する理由はない。