■「フロンターレを背負って戦っている認識」

 この日行われた天皇杯3回戦で、J1・5クラブが下克上で敗れた。川崎もその一つとして名前を連ねることとなったが、小林は、「本当に苦しい状況だなと思いますし、簡単に切り替えてっていうのはよくないですけど、この苦しさからしっかり乗り越えていかなきゃいけない」と、率直な思いを吐露する。切り替えることは重要なテーマであるが、そう簡単にしてはいけないものでもあるとも説くのだ。

 難しい想いを言葉にする小林に、この苦しい状況から脱するために何が必要なのか。試合直後で申し訳ないと思いながらも聞くと、「やっぱり勝ちへの意思だったり、選手ひとりひとりの悔しいという思いだと思います」と即答する。

「フロンターレを背負って戦っているってことを、もう1回選手全員がしっかり認識しなきゃいけない。ここにいちゃいけないチームっていうのはみんな絶対思ってるので、それをピッチで全員が表現しないと勝てない」

 川崎フロンターレのエンブレムに強い誇りを持ち、その責任を全うしてきた背番号11だからこその重みがあるメッセージだ。

 直近のJ1リーグ・ジュビロ磐田戦でも悔しい引き分けがあったばかりで、選手にとっては精神的に厳しい局面を迎えたと言える。その中でも、小林が話すようにこの悔しさを力に変えなければいけない。「悔しい思いをさせたくない」と話すサポーターのためにも、等々力での次戦に出せる力をすべて
ぶつける。

(取材・文/中地拓也)

  1. 1
  2. 2
  3. 3