ジュビロ磐田戦の先制点が、プロ8年目で嬉しいJリーグ初得点になった25歳の石原広教は「ミーティングなどで逆サイドにボールがあるときのポジショニングを言われていた」という言葉通り、相手陣内のパスワークから左サイドに流れた伊藤敦樹のクロスに、右外から見事な形でヘッドを合わせた。
浦和レッズに酒井宏樹という偉大な選手がいることを承知の上で、そういう環境を求めて湘南ベルマーレから移籍してきた経緯がある。
ここまで15試合連続でスタメン出場しているが、最初にチャンスを掴んだきっかけが酒井の負傷だった。それでも試合を重ねながらペア=マティアス・ヘグモ監督の信頼を高めて、酒井が復帰してからもポジションを明け渡すことはなかった。その石原は1対1の強さに加えて、湘南で鍛えたアップダウンで浦和を右サイドから活性化する役割を担っている。
「走ることはチームの約束事なので、僕も(大畑)歩夢も、前を追い越していくことは意識していました」と語る通り、ハードワークはこれまでも見せてきたものだが、酒井の退団で、責任感は間違いなく強まっている。
石原は磐田戦に関して「やっぱり若い選手がすごく多かったので。みんなが支え合っていくところでは声出してやってました」と振り返る。そう言った浦和でのリーダーシップの必要性を自覚しながら、改めて日本代表という目標を口にした。これまで良き指標になっていた酒井はもういないが、ここからは心身両面で浦和を引っ張りながら、さらなる高みを目指していくことが期待される。