「そうですね、折れることはなかったです。時間は短いと思いましたけど、少ない時間でゴール取ることだけを考えていました」
川崎フロンターレの山田新がこう言葉にしたのは、アルビレックス新潟戦で2失点目を喫した時の心情である。その直後に劇的なゴールを決めた山田はあの瞬間、どう考えていたのか。それが気になって、山田新の囲み取材の最後の質問として投げかけたところ、“やはり”というような答えが返ってきた。
この試合の90+7分、気持ちは折れてもおかしくなかった。8分と表示された後半のアディショナルタイムの残り1分という段階で、チームは逆転弾を受けたのだ。若きストライカーは、諦めない気持ちを沸々と高めながらも、至って冷静にゴールだけを見据えていた。
山田はさらに「負けられない試合ではあったので、順位を含めて、僕がっていうよりかはチーム全員が失うものはないっていう思いでリスクを負って、とにかくゴールを奪いに行けたことが得点につながった」とも説明を続ける。
そう、確かにこの試合で気持ちが折れたように感じた選手はまったくなかった。それは1失点目、つまり、同点ゴールを被弾したときもそうだ。