■16分の愛媛の得点「水戸のGKが前に…」

 この場面でも水戸の選手の選択には、もう少し工夫があってもいい。シュートを打つことは悪いことではないのだが、寺沼に預けたボールが自分に戻ってきたときに、もう一度、寺沼にボールを渡してワン・ツーで愛媛ディフェンス陣を突破できたように見える。
 なぜならば、CBの小川がタッチラインまで落合をケアしていたので、ペナルティエリアには寺沼についている森下しかいないからである。戦術的にCBは相手FWについていくから、本来ならCBとSBの受け渡しの場面は行われない。したがって、ペナルティエリアにスペースができてしまう。
 16分の愛媛の得点の場面。谷本が渡されたボールをトラップミスして水戸のCBの山田奈央のおなかにボールが当たって、そのボールが谷本に戻されて倒れ込みながらシュートを放つ。
 水戸にとっては守っている人数も足りていたので、不運な面があった失点であるのだが、GK松原修平がかなり前に出過ぎていたように見える。ディフェンダーの裏に出てこられると考えたのか、ポジションを前にとっている。通常のポジショニングをしていればシュートには届いていた。
 後半になっても水戸は積極的にゴールを狙うのだが、同点弾は生まれなかった。試合を通して見れば、愛媛の粘り強い守備が水戸の単調な攻撃を抑えたと言っていい。 
 愛媛は、守備に関する戦術がマイナスに働いているように見えた。受け渡しをしたほうがいい場面でもマークにこだわるやり方は、失点を増やすことになる。
 水戸は、選手のプレー選択のアイデアにもう少し工夫があってもいい。「ここはパス」で「そこはシュート」の選択が逆のケースが目についた。
 たとえば、後半開始早々の新井のプレーがそれを象徴している。左サイドからペナルティエリアに切り込んで行った後、中央にパスを選択した。
 思い切ってシュートを打ってもいい場面だった。選手のプレーにもう少し工夫があれば得点を奪うことはできる。次節の秋田戦では、選手がどんなプレーを選択するのかに注視して見てみたい。

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