明治安田J1リーグ第17節、浦和レッズ(以後、浦和)対ヴィッセル神戸(以後、神戸)戦が埼玉スタジアム2002で行われた。
試合は、1-1の引き分けに終わり、両チームともに勝ち点1を分け合った。
浦和のフォーメーションは「4-3-3」の中盤が逆三角形で、前節の町田戦と同じメンバーで臨んだ。
一方の神戸も「4-3-3」の同じフォーメーションで組んできて、前節の東京ヴェルディ戦から3人が変更に。佐々木大樹、井出遥也、初瀬亮がスタメンで使われた。
今回もまた、得点に絡むシーンを中心に、試合を分析していこう。
開始早々の神戸のチャンス「大迫のダイビングヘッド」
試合開始早々、神戸にチャンスが訪れる。コーナーキック(以後、CK)のボールがファーサイドにいた武藤嘉紀に届くと、武藤はゴールエリアにボールを折り返す。そのボールを山川哲史がバックヘッドで流したところに、大迫勇也が飛び込みながらヘディングシュートを放つ。
ゴールキーパーの西川周作がボールを弾いて、ゴールを守った。
神戸のこのやり方は、CKからの攻撃手段として他のチームでもよくみられるパターンである。
CKからファーサイドにボールを蹴って、それをペナルティエリアに折り返して、または、さらにそのボールを中央に流してシュートさせるパターンだ。
このやり方がなぜ有効なのかと言えば、浦和がゾーンで守っているので、ボールをゴールから遠くに蹴ることによって、浦和の選手がボールウォッチャーになってしまうからである。
つまり、ボールが折り返された時点で、自分の近くにいる選手を見落とすことになる。だから、大迫がフリーでボールに飛び込めたのである。
おそらく神戸は、過去の試合を見て、浦和のCKからの守備に問題がある点をついたのだろう。武藤をファーサイドに置いて、ボールをペナルティエリアに折り返し、そこから攻撃を仕掛けるやり方を事前から組んでいたので、こうした攻撃手段ができたのだ。
守備コーチなどは、こうした場面に対して「足を動かして」と指導するのだが、相手を見ながら足を動かさないと、次のアクションには移れない。
ボールウォッチャーになることの欠点は、ボールをみているときに「ベタ足」になって止まってしまうことなのである。
だから、首を振って近くにいる相手選手に触れながら足を動かして次のアクションに備えるのだが、一瞬でもボールウォッチャーになってしまったスキをついて、攻撃側は守る選手と選手の間に顔を出してゴールを狙ってくるのである。
神戸の開始早々の攻撃は、こうした狙いがあって行われた。