スポンサーが語る「大谷翔平」と「サッカーと教育」

 サッカーの試合には珍しいブラスバンドである。
 サッカーの場合、両チームのゴール裏に陣取ったサポーターがタイコなどの鳴り物を入れて熱狂的な応援をすることが普通だが、今回、バックスタンドに陣取ったのは、洗足学園高校、大学のブラスバンド部だった。高校野球では定番中の定番ともいえるZARDの『負けないで』や最近、大流行のCreepy Nutsの『Bling-Bang-Bang-Born』などを演奏すると、まるで夏の甲子園のような雰囲気に。また、試合前の国歌斉唱は、洗足学園中学校の合唱部が担当した。
 今回の演出を担当したレアル・ソシエダのメインスポンサーである、ヤスダグループ代表取締役社長の安田慶祐氏に話を聞いた。
「今回、洗足学園の関係者には5000人ほど来ていただきました。私は、こうした世界レベルのクラブの試合を、若い子たちに見せることは、アカデミーで若い選手たちを育成するのと同様の教育だと思っています。今後は、サッカーで地方創生などにも取り組んでいきたいですね。
 不可能ではないと思っています。なぜなら、大谷翔平選手が、誰も実現不可能だと思っていた二刀流で、メジャーで大成功しているじゃないですか」
 瞳を輝かせながら、今回の親善試合と今後のビジョンについて語ってくれた安田社長。また今夏には、次なるイベントも準備中だという。
 この日の前日である28日、「パリ五輪には出場しない」と明言した久保建英。日本の至宝はこの後、W杯2次予選である、6月6日のミャンマー戦、そして11日のシリア戦に臨む、サッカー日本代表に合流する。試合後、「もも裏を少し痛めて、負傷する前に交代した」と、早すぎる交代の経緯を語った久保。彼に憧れるサッカー少年たちのためにも、足に何事もないことを祈りたい。

試合前、国歌を斉唱する洗足学園中学校の合唱部の生徒たち。天使の歌声がスタジアムに響いた。撮影/渡辺航滋(Sony α‐1)
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