■日本サッカーのために戦いたい「ベテラン」の活用

 もちろん、オリンピック本大会だけでなく、U-23アジアカップでもそれを戦い抜くことで、「欧州組」だろうと「Jリーグ組」だろうと、選手の成長に大きく寄与することは間違いない。

 今回のU-23アジアカップで大きく伸びた選手のひとりに、浦和のDF大畑歩夢がいる。所属の浦和では、今季スタート時にはFC東京から移籍してきたMF渡邉凌磨にポジションを奪われていたが、U-23アジアカップで試合ごとに力をつけ、浦和に戻ると左サイドバックとして攻守両面でまったくレベルの違う選手になっていた。今後、日本代表に選ばれ、欧州のクラブに移籍し、2026年のワールドカップで活躍する可能性も十分ある。

「オーバーエイジ」も同じだ。2016年のリオ・オリンピックに、手倉森誠監督は浦和のFW興梠慎三(当時30歳)を招集した。興梠には、日本代表出場16試合という実績があったが、その記録は前年までのもので、この2016年にはまったく代表に呼ばれていない。興梠の選出は驚きをもって迎えられた。

 しかし、興梠はリオ・オリンピックの3試合で見事なプレーを見せ、攻撃をリードした。グループリーグ敗退に終わったものの、興梠のパフォーマンスは目覚ましく、最前線でのアイデアに富んだプレーは、彼のポテンシャルをフルに発揮するものだった。おそらく彼のキャリアで最も充実した3試合だったのではないだろうか。

 その後、興梠がワールドカップで活躍したわけではない。しかし、オリンピックという舞台を得て、Jリーグで発揮しきれなかったものを発揮するベテラン選手は他にもいるはずだ。そして、日本代表でレギュラーポジションを獲得するためにオリンピックでアピールしたいという選手、ともかく日の丸をつけて、日本のサッカーのために戦いたいという中堅、ベテランもいるはずだ。

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