■「改善し続けることが大事」
とはいえ、いくら柴崎が戻ってきたからと言って、全てが解決するわけではないし、すぐに常勝軍団復活が叶うわけでもない。チーム全体がレベルアップし、今回の町田のように誰が出てもそん色ないプレーができる集団にならないと、到底トップには立てない。そのためにも、柴崎は細部にこだわって日々アプローチし続けていくことが重要だと考えている様子だ。
「選手は自分のベストを毎日尽くすこと。それに尽きるんじゃないかと思います。選手間やチーム間で駒かな部分まで日々、目を向け、改善し続けることが大事なんです」
そういうスタンスで長いプロキャリアを歩んできた柴崎の言葉には含蓄がある。彼自身もさまざまな苦しみや挫折に直面しながら、2016年FIFAクラブワールドカップや2018年ロシアワールドカップといった大舞台で異彩を放ってきた。そういう輝きを再び鹿島で見せてほしいというのが、多くの人々の切なる願いに他ならない。
同期の宇佐美貴史(G大阪)や宮市亮(横浜)も大ケガで選手生命の危機に瀕しながら堂々たる復活を遂げた。彼らにできたことが柴崎にできないはずがない。ここからが本当のスタートだ。
(取材・文/元川悦子)