■東京ベレーザですら「苦戦する」現実
3シーズン目を迎えたWEリーグだが、観客動員数は一向に増加する気配がなく、最近は入場者1000人以下といった試合も目につくようになっている。
動員が順調なのは手堅い人気を誇る浦和と、新スタジアム効果で多くの観客を集めているサンフレッチェ広島レジーナくらいのもので、日テレ・東京ベレーザですら集客に苦戦を強いられているのが現状だ。
原因としてはさまざまなことが考えられるが、秋春制で行われているWEリーグの日程がきわめて分かりにくいこともある。
シーズンが開幕して、まずWEリーグカップというリーグカップの大会が行われ、その後にリーグ戦が開始されるのだが、また代表の活動や皇后杯があるので、1か月ごとに中断があり、中断が明けると今度はウィークデーも含む連戦となる。
熱心なサポーターなら理解できるかもしれないが、一般のファンにとってはきわめて分かりにくいスケジュールということになる(日本のファンにとって、そもそも秋春制にも馴染みがない)。
WEリーグは、日本では初めての女子の団体スポーツのプロリーグである。一方でリーグ戦の実施と並んで、女性の社会進出とか女性活躍などの理念を掲げる活動に非常に積極的だ。
もちろん、女性の社会進出をサポートするという理念は素晴らしいことだ。しかし、リーグとしてまず取り組むべきは、プレーのレベルアップだったり、観客動員=社会的認知度のアップではないだろうか。WEリーグの社会的認知が進まず、観客動員数が増えないのでは、「理念の空回り」と言わざるを得ない。
人気が低迷したままでは「プロリーグ」と称しながら、採算性のないリーグになってしまう。もし、財政的に苦境に陥って脱落するクラブがあったり、さらにリーグが解散してしまったりしたら、それこそ女子スポーツのプロリーグ結成という試みの失敗となり、女性活躍社会へのイメージダウンにつながってしまう。
WEリーグ当局は、とにかくWEリーグの社会的認知や競技レベルの向上のために全資源を投入すべきだろう。
アジア女子クラブ選手権というコンテンツも人気拡大のきっかけとして使えるかもしれない。国際試合は、一般のファンも引き付けることができるし、浦和をはじめ、WEリーグ勢は幸いにもアジアをリードする強豪ばかりなのだ。