明治安田J1リーグ第12節、浦和レッズ対横浜F・マリノス戦が5月6日、埼玉スタジアム2002で行われた。この試合は、浦和レッズ(以降、浦和)が浮上するきっかけになるようなゲームだった。また、ペア・マティアス・ヘグモ監督の目指すサッカーが何かも、十分に知ることができた。
では、ヘグモ監督が目指すサッカーは何か、また、浦和の浮上のきっかけになる要素はなんなのかを、前編で解説した「浦和の先制点」と同様、具体的に分析していこう。
65分の2点目となった決勝点は、またしても伊藤敦樹のゴールだった。
伊藤がバイタルエリア中央にドリブルしてくるのと同時に、大久保智明が内側(中側)にランニングしてくる。通常は外側にランニングしてスペースを空けるのだが、大久保はあえて内側への動きを選択した。
大久保の動作によって右サイドバックとセンターバックが釣り出される。大外の左サイドには中島翔哉がフリーで待っている。
伊藤の選択としては、自分でシュートを打つか、中島にパスを出すかのどちらかになる。伊藤はこの場面を振り返って「いろいろ迷ったんですが、ニアが空いていたのでシュートを打ちました。よくないことも考えた」と述べる。
つまり、選択肢がいくつかあって、中島へのパスもあったが、シュートを選択したということだ。「よくないことも考えた」とは、シュートを打てるのに弱気になってパスを出すことを指している。