サッカーU-23日本代表が、アジアの頂点に立った。U-23アジアカップで、パリ・オリンピック出場権を獲得するのみならず、優勝したのだ。サッカージャーナリスト後藤健生が、若き日本代表が見せた「プロフェッショナルな戦い」と「パリ五輪本選への課題」を検証する。
■「絶対に負けられない戦い」規律を守ってプレー
まず、“歴史”を途切れさせるわけにはいかないという意識も強かっただろう。また、新型コロナウイルスによるパンデミックでほとんどの世界大会が中止になったため、パリ・オリンピック世代の選手たちの多くはU-20ワールドカップに参加することができなかったのだ。それだけに、将来の日本の強化のためにも、パリ・オリンピックでの戦いにはどうしても参加する必要があった。
つまり、選手たちは「絶対に負けられない戦い」という重圧を背負って戦っていた。
そんな中では数的優位に立ったときにも、精神的に未熟だったら、浮足立って攻め急いでバランスを崩してしまうこともありうる。
さらに、1対1の同点で迎えた後半の立ち上がりには、数的不利のカタールにゴールを決められてしまい、日本は1点ビハインドに追い込まれた。
数的優位の状態で失点して、リードを許す……。普通だったら、慌てたり、焦ったりで自分たちのプレーができなくなってしまってもおかしくない。
だが、日本代表の選手たちは慌てることなく、しっかりと規律を守ってプレーし続けた。67分にCKから同点に追いついた後も決して攻め急ぐことなく、後は慌てずに相手の足が止まるのを待って延長戦で2ゴールを決めた。