■サッカーの「ルールを知らない」アメリカの記者

 当時のアメリカ合衆国では、サッカーはまだまだマイナーでした。一部、熱心なサッカー愛好家はいましたが、大部分の人は「サッカーというのは女子のスポーツ」と思っているようでした。

 記者席で隣のアメリカ人記者に、こう聞かれたこともあります。

「あの、ゴール前の四角いラインはいったい何なんだい?」

 記者席に座っているスポーツ記者(一応)でさえ、サッカーのルールを知らないというわけです。

 ですから、ワールドカップが開催されるといっても、盛り上がったりはしていません。各国のサポーターが集まって賑わっているのはスタジアム周辺だけでした。

 そんなアメリカでワールドカップを開くことを決めたのはFIFAです。巨大マーケットの確保=金儲けのためでしょう。最近のFIFAは中東のアラブ産油諸国を優遇していますが、FIFAというのはいつの世もお金のために動く組織のようです。

 それでも、試合の前日「ワールドカップ関係のニュースでもやってるかなぁ?」と思って、僕はホテルのテレビのスイッチを入れてみました。

 そこで映し出されていたのが「O・J・シンプソン事件」でした。

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