後藤健生の「蹴球放浪記」第209回「ワールドカップ取材に欠かせないタクシー運転手との会話」(1)優勝国ドイツの開幕戦を吹き飛ばした大スターのカーチェイスの画像
アメリカ・ワールドカップのADカード。提供/後藤健生

 最近のテレビでは、地元をよく知るタクシー運転手に穴場的な食事処を教えてもらう番組が人気だ。蹴球放浪家・後藤健生は、そのさきがけかもしれない。ワールドカップの取材における“妙味”を、地元のタクシー運転手から伝授されていたのだ。

■往年の大スターが「76歳」で亡くなった

 4月10日にアメリカン・フットボールの往年の大スター、O・J・シンプソンが76歳で亡くなったというニュースを見かけました。

 現役引退後もコメンテーターや俳優としても活躍したスーパースターでしたが、彼が活躍したのは1970年代のこと。当時はNLFの情報などほとんど日本には伝わってきていませんでしたから、僕は彼の名前をまったく知りませんでした。

「O・J・シンプソン」という名前を初めて知ったのは、1994年のアメリカ・ワールドカップのときでした。

 ワールドカップは6月17日にイリノイ州シカゴにあるソルジャー・フィールドで開幕しました。対戦カードはドイツ対ボリビアでした。

 当時は、開幕戦に前回優勝国が出場することになっていたので、1990年のイタリア大会決勝でアルゼンチンを1対0で破って優勝したドイツ(1990年当時は西ドイツ)が開幕戦に登場したのです。

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