J3のヴァンラーレ八戸は、J1鹿島アントラーズ相手にルヴァンカップ2回戦を戦う。下剋上を狙う指揮官の“あの名言”が、選手のみならずファンの心にも響いている。
ルヴァンカップは今シーズン、新たな方式となった。J1チームのみならず、J2、J3も参加してのリーグカップとなったのだ。
新フォーマットの面白さが、すぐに表れた。一発勝負のトーナメントで、1回戦ではJ3勢が上位カテゴリーのJ2を倒すジャイアントキリングが続出。多くの人を喜ばせている。
4月17日と24日に行われる2回戦では、ついにJ1チームが登場する。天皇杯などはあるものの、なかなか実現しなかったJ1とJ3の対決も頻発し、新たな下剋上への期待が高まっている。
J3クラブのファンにとっては、非常に心躍る一戦だ。ホームで鹿島を迎え撃つ八戸は4月5日、チケットが完売したと発表した。約5000枚と決して販売枚数は多くなく、アウェイの鹿島ファンの遠征なども予想されるが、わずか3日間での完売は、八戸の街の期待のほどを示していると言える。
クラブのSNSでは、改めてチケット転売が禁止されていることを訴えつつ、試合当日に用意されるイベントの告知などを行い、ビッグマッチへの機運を高めている。一方、ピッチの上には、違う空気が流れているようだ。
イベント告知と同じく、試合前日にクラブのSNSには、ある動画が投稿された。強い風で聞き取りにくいが、石崎信弘監督が選手たちにメッセージを発している。投稿によれば、これは試合前日練習開始前のワンシーンだという。
「勝ちに行くんだからな。憧れるのはやめよう。しっかりチャレンジしよう」。大分トリニータや川崎フロンターレのJ1初昇格の礎を築き、柏レイソルでの天皇杯準優勝といった結果以外にも多くの選手を育てるという実績を残してきた名将が、そう語りかけている。
このフレーズは、昨年にも大きな話題となった。野球の世界最強国を決めるワールド・ベースボール・クラシック決勝を前に、対戦相手の野球の母国アメリカ相手に本気で勝つことを促した日本代表・大谷翔平の言葉だ。