■敵将で恩師も脱帽の一撃
序盤から清水が主導権を握り、押し込む中、前半16分には高橋祐治のロングボールをカルリーニョス・ジュニオが頭で競り、ルーカス・ブラガが反応。マークに来たDF2枚を巧みにかわして先制弾を突き刺した。その後も北川や矢島が積極果敢にシュートを狙っていくなど、完全な清水ペース。仙台をシュートゼロに抑え、何もさせないほど制圧していた。
1-0で折り返した後半も開始早々の9分に鋭いカウンターから今季好調の北川が2点目を叩き出し、これで勝負ありかと思われた。しかし仙台も松井蓮之や真瀬拓海ら持ち駒を投入し、巻き返してくる。そして中島元彦に1点を返され、詰め寄られる。
そこで勝負を決めたのが、17歳の新星・西原源樹。ルーカス・ブラガと交代し、後半24分からピッチに立った若武者はラスト7分というところで山原怜音のパスを受け、相手DF小出悠太をドリブルで抜き去り、右足を一閃。GK林彰洋の守るゴール右隅にプロ初ゴールをお見舞いした。
「とりあえずファーって決めてて、体を開いて打った感じです」とクラブ史上最年少ゴールを決めた高校生アタッカーははにかみながらコメントしたが、本人の中では2023年U-17ワールドカップ(W杯)最終メンバー落選を突きつけた敵将・森山佳郎監督に対するリベンジの意識も少なからずあったという。
「西原は最後、ゴールにつながる仕事が課題だったが、この舞台の大事なところで決めてしまう選手に成長したのは素晴らしいなと。悔しいですけど」と森山監督も脱帽していた。そういった若い力の台頭も今季清水の大きなポイントと言っていい。