2024年のJ1リーグが開幕し、第5節までが終了した。まだまだ先は読めないが、注目されるビッグクラブのひとつが浦和レッズだろう。そこで、ここまでの5試合で見えてきた浦和レッズの現在地、そして今後を、サッカージャーナリスト後藤健生がスクープ考察する。
■監督の秘蔵っ子経由のパスが「基本パターン」
今シーズンの浦和の攻撃パターンは、ペア・マティアス・ヘグモ監督の秘蔵っ子と言われるサミュエル・グスタフソン経由でパスをつなぐ形だ。「そこまで固執する必要はない」と思うほど、必ずそのコースを経てボールが運ばれていく。ヘグモ監督にとしては、まず、その攻撃パターンをチームに身に着けさせたいのだろう。変化をつけるのは、その後という考え方に基づいて、そのパターンを徹底している(またはそれに固執している)ように見える。
グスタフソン自体は、試合を積み重ねることでコンディションも上がり、また周囲との連係も良くなってきているし、Jリーグのサッカーにも慣れてきている。福岡戦では、シーズン序盤に比べれば左右に散らすパスのスピードも速くなっており、グスタフソンという選手の真価が見え始めていることは間違いない。
ただ、残念ながらグスタフソンという選手は、前評判ほど運動量が多い選手ではなさそうだ。中盤の底のアンカー・ポジションにどっしりと構えて、パスを付けさせては、そこから左右に大きく展開する。それが、彼のプレーのパターンのようだ。古典的なゲームメーカー像に近い。
パスが必ずグスタフソンを経由し、しかもグスタフソン自身の運動量が十分ではないということになると、浦和のパスの展開はどうしても遅くなってしまう。周囲の選手たちは、ボールがグスタフソンに預けられ、そしてグスタフソンがパスをさばくのを待たなければいけないので、動き出しが遅くなってしまう。