■「なかなか分かってもらえないぐらいありがたい」
その姿勢にサポーターがエールを送ったことは前編ですでに書いたが、試合に対する強い気持ちがあればこその、サポーターへの行動だったとも思われる。
「やっぱり僕らの仕事って2019年もなかなか勝てなかったり……」と、3連覇を目指しながら手にできなかったシーズンを思い出し、「そういうときでもいろんな人が支えてくれるというか、サポーターの人たちもそうだし、近い人たちも含め、そうやってやってもらえるっていうのは本当に他の人には分からないぐらい、強烈なものが突き刺さってくる。やっぱり自分の仕事ってそういう(ありがたい)ものだと思ってるので……。多分、なかなか分かってもらえないぐらいありがたいというか、力になることですね」とも表現する。
Jリーグクラブは60チームあり、監督は1人ずつしか就けない。その中でこのようにサポーターと信頼関係を築けていることは、レアだと言える。鬼木監督はそれを表現しているようだった。
「(ああいう応援は心に)ちょっと、来ますね。ちょっとじゃないですね、かなり(来ますね)」
こう話す鬼木監督が目指すのは、町田戦での連勝だ。U等々力でサポーターを喜ばせるべく、そして、選手に結果をもたらすべく、ホワイドボードを握りしめる。
(取材・文/中地拓也)