■「形を作ることが目的ではなくて」

 そこで後半はよりサイドを意識した展開に持っていこうとした。それはベア・マティアス・ヘグモ監督の指示でもあった。

「後半も逆三角形でしたけど、ダブルボランチと1トップ下みたいな形でもいいし、トリプルボランチっぽくすることもありだと思いながらやりました。形を作ることが目的ではなくて、ライン間を取ることが目的なので、そのへんを履き違えないように優先順位を考えてやれば、監督も概ね許容してくれる感じ。今は探りながらやってる部分がありますけど、試合をやりながらもっともっと良くしていきたいなと思ってます」と彼なりにベストな形にトライし、わずかながら見えてきた様子だ。

 岩尾は昨季のマチェイ・スコルジャ監督体制で伊藤とボランチを組んでいて、お互いのよさを引き出し合う関係性を築けている。そのアドバンテージを生かしながら、グスタフソンと絡みながらベストな中盤の連携・連動を構築していけるという優位性もある。戦術眼や周りを見る力にも長けており、手詰まり感を打破することも可能だ。頼れるベテランが先発組に入ったことで、確実に浦和のゲーム運びは変化しつつある。それが分かったことが、福岡戦の大きな収穫と言える。

 ただ、ここからは連戦に突入するため、特定の戦力だけでは戦えない。これまでIHに入っていた小泉の力も必要だし、途中出場で異彩を放っている中島翔哉を頭から使うという選択肢もないとは言えないだろう。そうやって中盤の戦力を最大限、有効活用していけるようになれば、浦和の戦い方に幅が生まれるのは間違いない。

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