フランスでは問題なくプレーできています


「フランスでは問題なくプレーできています。日本代表に入れるよう、コンディション作りもしていました」(伊東選手)
 しかし、代表復帰はなかった。実はこれに先立って、伊東選手は日本サッカー協会関係者と話し合いを持っていたという。その後の「招集なし」という結論について伊東選手はこう語った。
「代表に戻りたいけれど、日本という国が難しくて、その環境を整えることができなかった」
 どういった点が「難しい」のか。それは、報道の影響の大きさだという。
「一度、週刊誌に報じられてしまうと、その影響が本当に大きい。今代表に戻るとサッカー以外のことが大きく報道されて、チームがサッカーに集中できる環境ではなくなるかもしれないと思いました」(伊東選手)

アジアカップのバーレーン戦ではベンチを温め続け、その後、試合に出ることはなかった。

写真/©️soccer critique


 この「環境の難しさ」については日本代表の森保一監督も、会見でこう強調していた。
「彼を招集した場合に、日本で彼を取り巻く環境が、どういう環境になるか想像したときに、彼に落ち着いて生活、プレーができる環境にならないと想像している」「チーム全体としての活動も、チーム全体が落ち着いて活動できる環境にならないだろうなと」
 フランスと日本で「環境」になぜ違いが生まれるのか。それは「推定無罪」という考え方が社会にどれだけ浸透しているかによる違いに思える。

西脇亨輔(にしわき・きょうすけ)1970年千葉県出身。東京大法学部在学中に司法試験合格。司法修習後、95年4月テレビ朝日にアナウンサーとして入社。『ニュースステーション』『やじうまプラス』などの担当後、法務部へ異動。法務部長を務めた後、23年11月にテレビ朝日を退職、西脇亨輔法律事務所を設立。著書に「孤闘 三浦瑠麗裁判1345日」(幻冬舎)がある。

  1. 1
  2. 2
  3. 3