サッカーは年々、進歩している。ルールも毎年、改善が試みられている。2024年も、数点のルール改正が施されることが決まった。その5つのポイントを、サッカージャーナリスト大住良之が徹底検証する。
■「ルールを決める」国際サッカー評議会
3月2日に行われた国際サッカー評議会(IFAB)の年次総会で、今年7月から施行されるルール改正などが決まった。
サッカーファンなら常識かもしれないが、サッカーのルール決定機関について簡単に書いておこう。世界のサッカーを統括しているのは「国際サッカー連盟(FIFA)」であり、本部はスイスのチューリヒに置かれている。世界中の211の「国あるいは地域」が加盟し、強大な権力を持っている。しかし、サッカーの競技ルールを決めるのは、このFIFAではない。
FIFAの外にある「国際サッカー評議会(IFAB)」という組織が、ルールを決め、必要であれば改正し、ルール条文の適切な解釈を説明し、世界中のサッカー協会だけでなく、FIFAにも厳格な適用を義務付けているのである。当然、サッカーのルールブックも、IFABが発行している。
IFABは「組織」というより「会議体」と言ったほうがわかりやすいかもしれない。イングランド、スコットランド、ウェールズ、そして北アイルランドの「英国4協会」に加え、FIFAの計5組織が、その会議に参加する。年に一度、例年3月上旬に「年次総会」を開催し、その年の夏から施行されるルールの改正などを決める。会議は持ち回りなので、以前は決まった本部を持たなかったが、2014年に法人化し、現在はスイスのチューリヒに本部を構えている。