■「会場の雰囲気を含め、『これが鹿島だな』」
それでも後半頭から鈴木優磨を投入し、チャブヴリッチとタテ関係の2トップのような形にしてからは攻めの迫力が出てくる。後半13分にはセレッソに1点を奪われたものの、指揮官はそれにひるむことなく、佐野海舟を最終ラインに下げてビルドアップの改善を図るなど、斬新な采配を披露する。
プレースキックに秀でた名古新太郎、競り合いに強い垣田裕暉らを続々とカードを切り、最後の最後にFKから植田直通のヘッドで同点に追いつくあたりは、まさに試合巧者。鹿島らしい泥臭さとタフさを見せつけた一戦だった。
「ラスト15分は鹿島の圧力を感じた。あの時間はラインが下がっちゃった。守備にフォーカスしていたので、耐えきりたかったけど、メンタリティの部分が足りなかった」と百戦錬磨の香川真司が反省。
その一方で、日本代表の毎熊晟矢も「会場の雰囲気を含め、『これが鹿島だな』っていうのはやる前から分かっていたけど、後半、自分たちの保持できる時間を増やせなかった。ああいう展開になるとラインがズルズル下がってしまうので、どうしても距離感も離れてしまう」とゴール裏と一体になって勝利への執念を見せる鹿島の凄まじさを痛感したという。