■「常に謙虚な気持ちでいなければいけない」
一方PKを譲ったエリソンはどう思っていたのか。
「ハットトリックできそうなチャンスはありました」と話し始めたエリソンはこのPKがハットトリックのチャンスだということを認識。それでも山田に譲ったのは「常に謙虚な気持ちでいなければいけないというふうに、親の方からも教えを受けていますし、自分もそんなエゴというものを強く持っている方ではないので」と説明。
さらに言うと、「彼(山田)があのように自信を持って蹴りたいという風に言ってくれば、もちろん、それは快く彼に受け渡しましたし、そこに関しては全然問題なく、彼にPKを蹴ってもらいました」と後悔の気持ちは一切ないという。その上で「一番重要なのは、自分たちがしっかりと団結して助け合いながら戦うというところだと思っています」と述べており、PKを巡りいさかいになることを避けたいという思いがあったようだ。
ちなみにエリソンは沖縄合宿中から、自らのゴールに執着するのではなく、最終的にチームが勝てばいいというスタンスの発言を続けてきた。このPKの場面は、そんなエリソンのスタンスが現実のものになった場面だったと言える。
(取材・文/江藤高志)