■ドタバタ劇の最大の被害者は「選手たち本人」

 いずれにしても、開催地決定が開催日直前までズレ込んだことによって、両チームとも良いコンディションで戦うことはできなくなってしまった。

 北朝鮮側としては「ホームの平壌で、良いコンディションで戦っていれば勝てたはずだ」という気持ちが強く残ったことだろう。

 開催地が日本や北朝鮮から6時間の時差があるサウジアラビアのジッダになったことで、第2戦でも選手たちはコンディションに問題を抱えたまま戦うことになる。再び長距離移動して、6時間の時差のある東京に戻らなければならないのだ。

 今回のドタバタ劇の最大の被害者が長距離移動や気温差に悩まされた選手たちであることは間違いない。

 この2試合だけではなく、このとんでもない強行日程を強いられた選手は、これから再開されるリーグ戦でのパフォーマンスにも影響を受けることだろう。

 また、入場券を購入したファンやサポーターも大きな被害者だ。悪いコンディションの中では良い内容の試合などまったく期待できないからである。社会的に大きな注目を集め、NHK総合テレビで地上波中継されるオリンピック予選は、女子サッカー界にとっては、大きなアピールの場となる。

 それなのに、コンディションが悪くては、女子サッカーの魅力を伝えることは難しいだろう。

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