【東京Vと横浜FMの国立決戦で5万がどよめいた2つのゴール(2)】「ちょっと興奮しすぎて覚えていない…」と振り返るほどの鮮烈弾。チームメイトを呼び寄せて観客席へ猛ダッシュの画像
東京ヴェルディとの試合で鮮烈弾を決めて喜ぶ横浜F・マリノスの松原健 撮影:中地拓也

 試合終了のホイッスルが鳴ると、横浜F・マリノスの松原健は笑顔でガッツポーズを見せた。走ってその体を抱擁したのは、やはり笑顔の上島拓巳だ。直後、松原は「ちょっと興奮しすぎて覚えていないんですけど……」と、すぐにはゴール場面を振り返ることができないほどに劇的で、そして鮮烈な逆転弾だった。

 東京ヴェルディとの開幕戦で、横浜F・マリノスは開始7分で先制点を与える。その後もチャンスを作り続けたのは16年ぶりにJ1で戦うホームチームであり、アウェイに乗り込んだ側の横浜F・マリノスはACLの疲れを感じさせる内容しか見せられなかった。

 それでも、後半44分にFWアンデルソン・ロペスがPKを決めて同点とする。試合終了間際というタイミングだったため喜ぶ姿を見せるかと思われたが、すぐに自陣へと戻る。ネットを揺らしたボールを回収しようとする選手もいた。目指すのはあくまで勝利と言わんばかりの姿勢であり、それを体現したのが松原だった。

 右SBで先発した松原は90+3分、ヤン・マテウスからのマイナスのパスに対して、左足でのシュートを選択する。「パスをして終わるより、打って終わろう」と考えた結果で、このボールは弧を描きながら鮮やかな軌道を見せた。ゴールネットを揺らしたボールの行方を、今度は誰もが気にしない。勝負が決したからだ。

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