■川崎で警戒すべき選手

 田中は、自身がパリ五輪の代表入りを見据えるうえで、課題を「攻撃のビルドアップ」とする。「同じ世代のボランチの選手に比べると足元の技術だったり、ポジショニングで足りない部分がある。そこはベルマーレでしっかりトレーニングできるので、それを試合で出せればメンバーにも選ばれる」と話す。

 だからか、開幕戦で対戦する川崎フロンターレでの警戒する選手を聞くと、出た名前は山本悠樹だった。ガンバ大阪から加入したばかりのMFはビルドアップや足元の技術に優れており、田中自身が課題とする部分を長所とする選手である。

 田中は山本について、「本当に足元がありますし、ゲームを作る力がある」と賛辞を惜しまないが、一方で、「自分がそこを潰せれば、勝ちも見えてくると思うのでしっかりやっていきたい」と負ける気はない。

 現在のチーム状態については、「去年の上澄みプラス新しいことにもチャレンジしてます」と話す。上積みは守備の強度についてで、新しいことは田中自身のミドルシュートでの得点力。チームは昨季からの継続路線を選んだからこそ、熟成だけではない“武器”を積極的に採り入れるつもりだ。

 湘南が川崎を迎えるのは、2月24日。レモンガススタジアム平塚でのホーム開幕戦である。個人としての目標のため、そしてチームの躍進のために、「勝って勢いに乗りたい」と話す田中がどのようなプレーを見せるのか。

(取材・文/中地拓也)

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