■サッカーの価値向上のために

 プレーが中断することが少ないことは、サッカーの魅力の一つである。また、試合が何時に終わるのかが分かることは、たとえば地上波放送にとっては非常に大きな利点だった。

 野球の試合は何時までかかるか誰にも分らない。そこで、メジャーリーグ(MLB)では「ピッチクロック制」が導入され、試合時間の短縮を図っている。

 昔のラグビーはプレーが途切れる時間が長くて興味が削がれることが多かったが、最近はルール改正や選手たちの技術の向上によってプレーが継続されることが多くなってきた。

 それなのに、最近のサッカーは「プレーが中断しない」というメリットを捨ててしまい、アディショナルタイムが10分などという試合が珍しくなくなってしまった。

 もちろん、正確性を優先しなければならない判定については時間をかけてでも真実を追求すべきかもしれない。だが、ほんの10センチのオフサイドを見つけるために血眼になって「3Dライン」を引く作業を行うことがサッカーの価値を向上させているとは思えない。

「アキュラシー・アンド・スピード」という相反する目標のために努力を積み重ねている審判員の皆さんには敬意を表したい。だが、サッカー・ルールの元締めである「国際サッカー評議会(IFAB)」には、袋小路に入りつつあるVARについて根本的な見直しをしてほしいものである。

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