サッカーの世界でも、テクノロジーの活用が広がっている。ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)も身近になってきたが、まだ分かりにくい部分も多い。今回、サッカージャーナリスト後藤健生が、VARの裏側を取材した。
■難しいオフサイドの判定
作業に時間がかかるのが、オフサイドの判定だ。
昨シーズンから、Jリーグでもいわゆる「3Dライン」が導入された。サッカーでは守備側の後方から2人目の選手がオフサイド・ラインとなる。
アイスホッケーではオフサイド・ラインは氷に赤や青のラインで表示されており、ラインが動くことはない。また、ラグビーのオフサイド・ラインはボールの位置だから、サッカーよりも判断しやすい。
だが、サッカーでは最後尾のDF(通常、GKが最もゴールラインに近い位置にいるので)の体の最も後方(ゴールラインに近い)がオフサイド・ラインになる。DFが横に何人も並んでいる場合、まずどの選手が最もゴールラインに近い位置にいるかを判断しなければならないし、その選手の最も後方にあるのが足であれば簡単なのだが、腰だったり腕だったり、空中にある部位だと、そこから地面に垂直に下ろして、そこにラインを引く。
そして、攻撃側の選手の体の一部がそのラインを越えているかどうかを、別のラインを引いて決定するのだ。
この作業に時間がかかる。それが、VARに時間がかかり、アディショナルタイムが長時間化する最大の原因なのだ。
この難しい作業を行い、正確さとスピードを両立させるために、審判員はこの難しいトレーニングを続けているのだ。