■誤差を容認できないのか

 当然、肉眼での判定には限度がある。そこで、「同一線上の場合はオンサイド」ということになっていた。

 ミリ単位、ミクロン単位までチェックすれば、「厳密に同一線上」ということはあり得ない。だが、たとえば「1ミリ」は肉眼での判別の限度をはるかに超えているから、これは「同一線上」と見なしていいのだ。

 物理実験であれ、およそすべての計測には誤差が生じる。また、惑星や衛星の軌道計算のときに、1ミリ、2ミリという差は無視していい。それが、有効数字という考え方だ。

 そうだとすれば、職人技を身に着けたアシスタント・レフェリーでも判別できないようなミリ単位の違いは“誤差範囲”と見なすべきではないのか。

 言い換えれば「3Dライン」を引かなくては判別できないオフサイドは、同一線上と見なしていいのではないだろうか。

 シュートを打った瞬間に、ゴール前のオフサイドの位置に攻撃側の選手がいて、その選手が守備側のGKやDFに影響を与えていたら「インパクト」があったとしてオフサイドが適用され、シュートがゴールに入っても得点は認められない。

 一方、たとえオフサイド・ポジションに味方がいても、GKやDFのプレーに影響を与えていないと判断されれば、得点は認められる。

 同様に「3Dライン」を引いて、攻撃側の選手の腕が10センチ出ていたとしても、その事実によって攻撃側が実質的な利益を得ているとは思えない。それなら、それは誤差範囲と考えてオフサイド・ルールを適用しないでもいいのではないか?

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