■攻撃の変化のつけ方

――鈴木彩艶が経験を積めたこと以外で、大会を通して収穫はありましたか。

後藤「上田綺世が使えそうだという目途が立ったことだよ」

大住「試合ごとに良くなったね」

後藤「イラン戦での守田英正のゴールも、上田のポストプレーからのものだった」

大住「あれだけ強く当たられながら、何とか味方につなげるようになったんだからね」

後藤「これでようやく、大迫勇也を呼ばなくても大丈夫だという見通しが立ったよ。上田が頑張っている間に、細谷真大がもうちょっと成長してくれればいいんだけど」

大住「そうだね。そうすればCFのタイプの違いを活かした攻撃ができるようになる。ポストプレーヤータイプのCFではなく、浅野拓磨前田大然などスぺ―スに走る選手を1トップに入れた攻撃も組み合わせていくと、より変化をつくれると思う」

後藤「そうそう。イラン戦では途中から前田を左サイドからトップに移す、という変化のつけ方もありだったかもしれないね。前田が前線で走り回ったら守備面でも効いただろうし、相手をかき回すことで三笘薫の交代出場ももっと効果的になったかもしれない」

大住「今大会で通じて感じたのは、相手選手が日本の選手のプレーイメージをはっきりと持っているということ。三笘は、久保建英はどういうプレーをするか、はっきり分かっている。もちろん日本の選手も相手選手の映像を見ているんだろうけど、対戦するのがプレミアリーグやスペインでふだんから活躍している選手なら、プレーのイメージが非常に明確に見えるよね。こうやってボールを持ったら次はこう仕掛けてくる、というのが見えている気がした。それだけの有名人になっちゃったから、仕方ないんだけど」

後藤「カタール・ワールドカップで日本の選手がスペイン選手のイメージを持っていたのと同じようにね」

大住「受けて立ってしまったら、どの試合も難しくなるのは当たり前だよ」

(5)へ続く
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