アジアカップはグループステージを終了し、決勝トーナメントの開始を待っている。サッカー日本代表はグループGを2位通過。連勝が10で止まった理由をいかに消化し、この先を勝ち進む力へと変えていくべきなのか。ベテランのサッカージャーナリスト、大住良之と後藤健生が徹底的に語り合った。
■失点という問題の根源
――失点の多さを指摘されていましたが、何が問題で、どう解決すればいいでしょうか。
後藤「ベトナム戦の2失点目なんて、高さがある選手が外から入ってくるのに、誰もついていなかった。インドネシア戦でロングスローから決められた失点も、ちゃんと寄せておけば問題なかったと思う。それができていないのは、気の緩みとしか言いようがない」
大住「ロングスローに対して、最初のヘディングで守る日本のほうが人数が多いのにクリアしきれなかったことは別としても、こぼれ球に詰めた選手をノーマークにしたことが一番の問題。サッカーの基本的な問題だよ。インドネシア戦の選手がファーサイド側に動いたのを、日本の選手は見失っていた」
後藤「そんな失点ばかりだよね。なんでそこに誰もついていないの、っていう。競り合っても負けるかもしれないけど、最初から競っていないんじゃ問題外だよ」
――吉田麻也のような周囲を引き締めるリーダーがいたら違ったのでしょうか。
大住「確かに吉田がいたら、ベトナム戦の2失点目も、インドネシア戦のロングスローでの失点もなかったかもしれない。吉田のような存在がいないのは確かなんだけど、冨安健洋がそういう選手になりつつあるという気はする。ものすごく周りにガーガーと言うようにもなっているし、レベルが1段階、違うことは明らかだもんね」
後藤「少し話は変わるけど、冨安もそうだし、久保建英だとかケガ明けの選手がたくさんいたじゃないですか。冨安がベトナムとの初戦から出られなかったことも含めて、ケガ上がりの選手のコンディションが悪かったことも影響したような気がするけどね」
大住「森保一監督としては、力の劣らない選手が26人もそろっているから、2チーム分の戦力をうまく回しながら、ケガ人をうまく回復させていこう、という考え方だったと思うけど」