女子サッカーの日本一を決める皇后杯は、残すところあと1試合となった。決勝までの道のりを振り返ると、日本の女子サッカーの発展の軌跡が見えてくる。変化の胎動を、サッカージャーナリストの後藤健生が読み解く。
■プロ化がもたらしたもの
2021年に開幕したWEリーグ。初年度はプロ化したWEリーグとアマチュアリーグとして残った「なでしこリーグ(日本女子サッカーリーグ)」との戦力差は大きくなかった。
たとえば、一昨年に行われた第43回大会では最終的には三菱重工浦和レッズレディースが優勝を飾ったものの、「なでしこリーグ」1部に所属し、若い選手中心で戦っていたセレッソ大阪堺レディース(2023/24シーズンからWEリーグ加盟)とベレーザの下部組織である日テレ・東京ヴェルディメニーナが準決勝に進出した。
しかし、WEリーグも2年目に入ると、次第に「なでしこリーグ」との戦力差を開いていった。プロとしての環境や意識の変化によってプレー強度やパススピードが上がったのだ。とくに、浦和やINAC神戸レオネッサ、ベレーザといった強豪同士の試合は本当に激しいものだった。
さらに、WEリーグが3シーズン目に入った現在、そうした波はWEリーグの下位チームにも波及している。
日本代表(なでしこジャパン)が昨年の女子ワールドカップに出場して準々決勝進出を果たしたことも、女子選手たちの意識を高めたようで、プレーの激しさはさらに上がっていった。