■森保監督の指示
日本の先制点が生まれたのは前半31分。左の中村敬斗(スタッド・ランス)から遠藤航(リバプール)を経由し、ボランチの位置まで上がってきた毎熊晟矢(C大阪)にボールが渡ると、背番号16は強烈ミドルを一閃。これが左ポストを直撃し、こぼれ球を拾った堂安律(フライブルク)が押し込んだのだ。
この時、久保は右サイドに開いてスペースを作り、毎熊が中に絞る動きを演出した。
「前半は僕のところに6番の選手がマンマークついていた。うっとおしいくらいのマンマークだったんで、(森保)監督から『律とポジションを入れ替えてやったらたぶんスペース空くよ』と言われた。その指示が効いて、毎熊選手のところがフリーになった」と久保は説明したが、鋭い戦術眼が光った。
そして後半開始早々の4分にも久保は大仕事をしてみせる。左でボールを奪って持ち込み、中の上田と堂安にパスを供給。これが相手に当たって跳ね返ったところに久保は迷わず侵入。反転しながら左足を振り抜き、2点目を奪ったのだ。
最初、オフサイドかと思われたが、「(位置が)オフサイドなのは分かっていましたけど、プレーをやめたらもったいないですし、大会前のマッチコミッショナーのレフェリングガイドでああいう場合はオフサイドにならないって聞いていた。『これはないな』って思いながら打ってましたけど、結果的にゴールになってよかったです」
本人はルールを理解したうえで強引に行ったことを明かす。結果的に得点は認められ、久保にとっては待望の今大会初ゴールとなった。代表得点数もようやく4になり、「代表に来ると点が取れない」といったネガティブなレッテル払拭への布石を打ったと言える。