■「G大阪に育ててもらったので、難しい決断」
山本にとって川崎は、三笘と旗手が所属していたクラブであるだけでなく、プロ1年目から壁として立ちはだかったチームだった。2020年11月25日に行われた等々力でのゲームは、ホームチームが勝てばJ1優勝が決まるという大一番。この試合に、山本は先発出場している。
この年に関西学院大学からG大阪に入団すると、1年目にしてJ1リーグ27試合に出場。個人としては成長を手にし、チームとしても2位のままリーグ戦を推移した中で迎えた試合だったが、結果は0-5での大敗。目の前のチームの笑顔が、抱える悔しさを際立たせた。
「“優勝できるんじゃないか”みたいな気持ちがあった中で、川崎さんが優勝されて、やっぱ甘くないんだなっていうのは感じましたし、タイトルを取るっていうことの難しさっていうのもそこで知りました」
当時をこう振り返るが、だからこそ、今季の川崎でのシーズンで掲げる目標を「まずは怪我なくシーズンを終える」としつつ、「僕自身が取ったことのないタイトルをここで取って、その時、チームの中心にいたい」と話す。
「ガンバ大阪に育ててもらったので、難しい決断ではありました」と悩みを吐露しながらも、今は新たなチームのために戦う覚悟を決め、笑顔でこう意気込む山本が川崎のサッカーに順応すれば、大きな武器となる。年末の戴冠に向け、まずは沖縄キャンプに挑む。
※一部、誤解を招く表現がありましたため、1月16日14時4分にタイトルと一部本文を修正しています。ご不快な思いをさせた方々にお詫びいたします。
(取材・文/中地拓也)