■日本にもあった古き良き時代

 僕は、ロッカールームに入って選手にインタビューするつもりなどありませんでしたが、記者席のチケットを申請したら、こういうチケットをもらったのです。

 せっかくですから、記念のためにちょっと覗きに行ってみることにしました。たしかに、選手たちが裸でウロウロしている中で、顔見知りの記者たちが選手の話を聞いています。

 僕はスペイン語は多少分かりますから、記者会見のような公式の場での発言なら、半分程度は理解できます。ただ、ガヤガヤした中で、裸の選手が知り合いの記者相手にボソボソしゃべっているのを聞いていても、ほとんど理解できません。ですから、早々にロッカールームは引き揚げてきました。

 そういえば、僕がサッカーを見始めた1960年代の日本サッカーリーグ(JSL)や天皇杯では、まさに出入り自由でした。

 当時の僕は、もちろん記者なんかではなく、ただの中学生、高校生でした。

 それなのに、勝手に記者席に座って試合を見ていましたし、試合後のロッカールームに入って行って選手のサインをもらったりしていたのです。なんと大らかな、古き良き時代だったのでしょう。

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