舞台が大きくなるほど、決まってゴールという結果を残す。浅野拓磨に宿る摩訶不思議な力を紐解く上で、合点のいく答えが見つかったのは6月だった。
舞台はエルサルバドル、ペルー代表に快勝した森保ジャパンの活動期間。日々の練習後に行われる取材対応で、浅野の前には多くのメディアが集まっていた。
帰国前に臨んだ難敵レバークーゼンとのブンデスリーガ最終節。負ければ2部チームとの入れ替え戦に回る大ピンチで、浅野はボーフムの先制点をアシスト。さらにダメ押しゴールも決めて、低迷が続いたチームを1部残留に導いていたからだ。
ただ、浅野が最終節で決めたゴールは、昨シーズンの3ゴール目だった。ストライカーとしては、あまりに少ない数字と言わざるをえない。それでも浅野は不敵な自信を漂わせながら、ボーフムでの2シーズン目を振り返っている。
「常に“自分はできる”と自信を持ちながらプレーしてきましたし、あとは結果というものがどのタイミングで出るか、だけだと思っていました。たしかにヒーローになるタイミングがちょこちょこあるというか、もしかすると他の人よりも多いかもしれないし、その意味では自分でも“持っている”という感覚はありますね」