■遠藤航について感じたこと

 もちろん現日本代表キャプテン・遠藤航にも一目置いていた。2016年リオ五輪直前に湘南ベルマーレから赴いた彼は「ボランチで勝負したい」と熱望しながらも、浦和ではDFラインに入ることが多かったが、つねに冷静に物事を見極められる選手だった。李忠成はその能力に感心していたという。

「航はバランスを見る能力が高くて、どちらかというと達観しているタイプ。自分からガンガン発信するわけじゃなくて、周りを見ながら、自分が言うべき時に言う人間だと思います。

 今の代表で『2026年北中米ワールドカップ優勝』という大目標を掲げたと聞きましたが、それも他の人が発信しなかったから、『今こそ自分が言うべきだ』と感じて、思い切って発言したんでしょう。

 僕ら昭和世代はみんなが喧々諤々していましたけど、今の若手は航みたいに動じない。そこは非常に頼もしい部分。レッズにいた時もそうでした。リバプールまで上り詰めるというのも本当に大したもの。そういう選手と一緒にできたことをありがたく感じます」

 こうした個性あふれる人々との出会いが李忠成を37歳までピッチに立たせる原動力になったのは間違いなさそうだ。

(取材・文/元川悦子)

(後編へ続く)

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