■日本とドイツの違い
遠藤が手にしていたのは、五角形の「楯形」のペナント。周囲が金色の飾り房(「フレンジ」と呼ぶらしい)で飾られ、中央に日本サッカー協会(JFA)の標章。その上部に「JAPAN FOOTBALL ASSOCIATION」の文字があり、標章の下部には、「International Friendly」の文字、さらに「Germany vs Japan」とカード名が続き、その下に日付、スタジアム名、そして試合開催都市名(国名)が続く。そしていちばん下に日の丸が入れられている。「一点物」のペナント。標章や文字はもちろん刺しゅうである。
一方、ギュンドアンから遠藤に手渡されたペナントは、逆三角形で、全体が緑色、中央にドイツサッカー協会の標章が描かれ、その上部に「国際親善試合」という意味のドイツ語が置かれ、標章の下には日付と試合会場都市というシンプルなものだった。
ドイツのペナントには「Japan」の文字はない。だがこれでいいのである。このペナントは日本サッカー協会を代表する遠藤に手渡され、その後は日本サッカー協会に保管されるべきものなのだからだ。何十年たっても、「ああ、これは2023年9月に日本代表がドイツに4-1で勝ったときのペナントだな」とわかるのである。