■多忙な時期にACL取材

 日産スタジアムでこの試合を観戦しながら、僕は18年前のことを思い出していました。

 2005年5月。中国・済南にある山東省体育中心体育場で行われた山東魯能対横浜FM戦を見に行った時のことです。

 2005年前半は、ジーコ監督の日本代表がドイツ・ワールドカップ・アジア最終予選突破を決め、6月にはドイツで行われたコンフェデレーションズ・カップに出場。コンフェデと同時にオランダでワールドユース選手権(現、U-20ワールドカップ)が開催され、大熊清監督のU-20日本代表が参加(本田圭佑、家長昭博、平山相太、西川周作など、今から思うと超豪華メンバー)。そんな多忙な時期になんでACLのグループステージを見に行ったのか……。

 一つは、2004年のアジアカップでも済南に行ったのですが、試合を見てすぐ翌日には移動したので、市内見学ができなかったので、もう一度行ってみたかったのです(「蹴球放浪記」第22回「北京発済南行便欠航大災難」の巻)。

 また、そのアジアカップで味わったアウェイの雰囲気をもう一度味わいたかったのもありました。

 2004年アジアカップといえば、「反日ブーイング」。尖閣列島の領有権問題や小泉純一郎首相の靖国神社参拝問題を巡って、日中関係が悪化した時期に大会が行われたので、試合前の国歌吹奏のたびに激しいブーイングが起こり、中国人観客は声をそろえて日本の対戦相手を応援。北京での決勝戦で日本が中国を破って2連覇を決めた後には、日本人サポーターが工人体育場に閉じ込められたり、日本公使が乗った大使館の車両が襲われたりしました。

 そのアウェイ体験が非常に楽しかったわけです。

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