後藤健生の「蹴球放浪記」第191回「フットボール・アナリストT氏は、なぜウォンジュに着いてしまったのか?」の巻(1)日本と韓国における「漢字表記問題」の画像
バス乗車券の一例。これは大田市内・儒城(ユソン)ターミナルから水原(スウォン)行き。漢字はいっさい書いてない 提供/後藤健生

 蹴球放浪家・後藤健生であっても、旅先では困難に直面することがある。だが、そうした問題も、自分を成長させる糧となる。たとえ他者の経験であっても、自分の血肉となっていくはずだ。

■日中韓の漢字事情

 最近は、韓国人や中国人の名前を漢字ではなくカタカナで書くのが流行っている(?)ようですね。Jリーグの公式サイトを見ても、川崎フロンターレのGKは「鄭成龍」ではなく、「チョン・ソンリョン」と書いてあります。『朝日新聞』とか『読売新聞』といった一般紙では漢字表記を使っていますが、スポーツ紙やサッカー専門誌でもカナ表記です。

 まあ、韓国人の名前なら、日本人がカナ表記に従って読めばたいていは通じるでしょうから意味あるんでしょうけど、中国人の名前をカナ表記のまま「シー・チンピン」などと発音しても、習近平さん本人には絶対に通じないから無意味だと思うんですけどね。

 韓国人でも、「チョン」とか「ヒョン」とかいう表記がたくさん出てきてカナ表記では紛らわしくて覚えづらいんじゃないでしょうか? しかも、「チョン」ではどんな漢字に当たるのかまったく分からなくなってしまいます。

 たとえば、「キム」だったら「金さん」だろう、「パク」だったら「朴さん」だろう、「イ」だったら「李さん」だろうと想像はできますが、では「チョン」は漢字では何になるんでしょうか?

 チョン・ソンリョンさんやチョン・モンジュンさんの場合は、漢字は「鄭」ですが、同じ「チョン」でも「丁さん」かもしれませんし、「全さん」かもしれませんし、「田さん」かもしれません。「チョン」という発音の漢字はいくつもあるんです。

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