【2023年J1リーグ、ヴィッセル神戸優勝の要因を探る(1)】賛否両論ある中で見せた吉田孝行監督が貫いた「割り切り」と、それに呼応した大迫勇也ら“ビッグ4”のフル稼働の画像
ヴィッセル神戸の山口蛍、大迫勇也、武藤嘉紀(右から) 撮影:中地拓也

 12月3日のJ1最終節で2023年Jリーグ全日程が終了。ご存じの通り、ヴィッセル神戸が1試合を残してリーグ初制覇を達成している。

 5日のJリーグアヴォーズでは、今季22ゴールの大迫勇也がMVPを獲得。10ゴールの武藤嘉紀、32試合出場のキャプテン・山口蛍ら4人がベストイレブンに選出された。

 今季開幕当初を思い返すと、キャプテンだったアンドレス・イニエスタ(現・エミレーツ・クラブ)が長期離脱を強いられ、守備の要・菊池流帆も長い欠場を余儀なくされた。昨季の主力だった小林友希セルティックに移籍し、槙野智章(現・品川CC監督)も引退する中、最終ラインの手薄感は大いに懸念された。

 こうした中、吉田孝行監督は京都サンガから補強した本多勇喜らを有効活用。攻守の切り替えの速いタテを意識したスタイルへのシフトを図ったのだ。

 イニエスタがいなかったからこそ、思い切って推し進められたことなのかもしれないが、バルサ化を目指していたクラブ内では賛否両論があった模様。それでも指揮官は”いい意味での割り切り”を見せ、自分の考えを貫いた。かつて神戸を解任され、V・ファーレン長崎もJ1昇格へと導けなかった失敗を経験している吉田監督は「結果が出なければ何の意味もない」と痛感していたのだろう。ダイレクトにゴールに向かうスタイルが勝利に一番近いと判断し、自分たちの戦い方を確立させていった。

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