12月2日に行われたJ1昇格プレーオフ決勝の結果、東京ヴェルディが実に16年ぶりとなるJ1復帰を決めた。その試合直後、23歳の若きキャプテン・森田晃樹とチームを率いた城福浩監督との“抱擁”がファンの涙腺を大いに刺激している。
引き分け以上で昇格が決まる試合は、後半16分にペナルティエリア内で相手と競り合った森田が、浮き球を処理する流れの中でハンドを取られてPK判定。これを清水エスパルスのチアゴ・サンタナに決められた。だが、後半アディショナルタイムに染野唯月が倒され、今度は東京VがPKを獲得。染野唯月が決め、土壇場で追い付いて歓喜のホイッスルを迎えた。不可抗力だったとはいえ、“戦犯”になりかけていた森田にとっては「救われた」瞬間でもあった。
高い技術を持つ天才肌のゲームメーカーである森田は、ジュニア時代からのクラブ生え抜きのプレイヤー。他の同世代の面々と同じく他クラブの移籍も噂もあった中でチームに残留し、トップ昇格5年目の今季はキャプテンに指名され、ピッチ内外でチームを牽引する役目を果たしながら長く険しいシーズンを戦ってきた。
それだけにプレッシャーから解放されて全てが報われた瞬間、森田の目からは涙があふれ、止まらなかった。そして、その姿を目にした城福監督はそっと近づき、熱い抱擁を交わしたのだ。