■「酒井選手は間違いなく浮かんだ」
中山にとってキャプテンマークとはまた別の重みを感じたのが19番だ。「偉大な先輩がつけてる番号を付けるのはすごい感慨深い」と中山。それは柏レイソルの大先輩である酒井宏樹がカタールW杯まで付けていたもので、中山も「酒井選手は間違いなく浮かんだ」と明かした。それは嬉しいと同時に、19番言えば酒井宏樹というイメージを塗り替えていかないといけないという自負も芽生えている。
そして、柏と言えばアカデミーの後輩でもある細谷も、ポジションは違うが中山の新たな刺激になっているはず。細谷が柏のユースからトップ昇格する前に、中山はオランダのPECズヴォレに移籍しており、細谷と直接関わったことはなかったという。
しかし、細谷に聞くと「自分もスタンドから観ていた側なので。初めてですけど、一緒にプレーできて嬉しく思っています」と語った。そのことを中山に伝えると「そうですね」と言葉をつなぎながら少し考えて、こう答えてくれた。
「僕も逆に言えば酒井くんがプレーした時はそういう立場でしたし、まあレイソルじゃなくても、おそらく小さい子たちはA代表を必ず観てると思う」
東京五輪世代がA代表の中心を担うようになってきている流れの中で、細谷のような次の世代も徐々に対等してきている。おそらくディフェンスラインでも、そうした選手の突き上げがあるだろうし、なければいけない。そういう選手たちの良き壁になり、同時に背中も見せていく。そうした競争の先に、カタールでは叶わなかったW杯の舞台が待っているのか。中山にとって色々な意味で、そこに向けた大きな一歩を踏む日となった。
(取材・文/河治良幸)