■リーグ戦以上に重要なメンタル的要素
小林慶行監督はロジックとパッションの両面をバランスよく持ち合わせたタイプの指揮官であり、ボールを大事にしながら、機を見てダイナミックな攻撃を仕掛けていくスタイルは目を見張る。長崎戦もチャンスの数では相手を大きく上回ったが、シーズン13得点のFW小森飛絢を欠いたことが痛かった。7得点のドゥドゥや見木友哉、ボックス内で勝負強い呉屋大翔など、得点力のあるタレントは複数いるが、小森の復調が4枠目からの昇格の鍵を握ることは間違いないだろう。
理論的には3位のチームが最も有利なのだが、プレーオフは勢いや一体感など、メンタル的な要素がリーグ戦以上に大事になってくる。その意味では最終節に勝てば自動昇格だった清水は苦しい状況にあるかもしれないが、幸い最終節から2週間あるので、サポーターの後押し次第なども得ることで、立て直しは可能だろう。
その清水と同じく、オリジナル10でありながら長らくJ2を戦場にしてきたヴェルディと千葉のどちらかが昇格を勝ち取ってもドラマだが、山形の勢いというのも軽視できない。J1との入れ替え戦がないこともあり、激闘が繰り広げられることは必至だ。
(取材・文/河治良幸)