ドイツ2部のフォルトゥナ・デュッセルドルフが、ドイツ杯でベスト16進出を決めた。延長戦の末の劇的な逆転勝利で、試合後のサッカー日本代表MF田中碧の姿が注目を浴びている。
フォルトゥナが勢いに乗っている。現地時間10月21日のブンデスリーガ2部・第10節のカイザースラウテルン戦では、前半32分までに3点をリードされながらも、田中の2ゴールなどで4-3と試合をひっくり返した。続く第11節でもブラウンシュバイクを相手に4得点。その勢いは、ドイツ杯でも続いた。
現地時間10月31日、フォルトゥナはリーグ戦では3部を戦うウンターハヒンクのホームに乗り込んだ。カテゴリーは下ではあるが、一発勝負のトーナメントではどんな相手にも気は抜けなかった。
ノックアウト方式のカップ戦の怖さを示すように、先制したのは格下のウンターハヒンクだった。前半34分のゴールに続き、後半開始10分にPKで追加点。フォルトゥナに2点のリードを突きつけた。
だが、ここからがフォルトゥナの底力の見せどころだった。後半20分からの2分間で2得点して試合を振り出しに戻す。後半26分に再びリードを許したが、8分後に追いつくと、延長戦へと突入。延長前半は無得点に終わりPK戦もちらついてきたが、ラスト15分間で3ゴールを叩き込み、逆転勝利を完成させた。
劇的な展開に、アウェイまで駆け付けたファンも喜びに沸いた。試合後は大きなフラッグを振りながら、歓喜の歌声を夜空に響かせた。
うれしい気持ちは、選手たちも変わりなかった。高らかに歌い上げるサポーターの前で、全員が肩を組んで一列になり、メロディに合わせてジャンプして、喜びを分かち合った。
クラブがSNSでその様子を動画で公開したのだが、ファンの視線はある選手に集まった。ひとり両足を地につけたままの背番号4、田中である。