大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第122回「私のサッカー事始め~または『後ろ手ディフェンス』が嫌いなわけ」(2) イングランドでもまかり通っていた「女性はサッカー禁止」の画像
サッカーの最大の魅力とは(写真はイメージです) 撮影:中地拓也

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト・大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回は「後ろ手ディフェンスが嫌いな理由」。

■未知の競技だったサッカー

 当時、日本のサッカーは完全なマイナー競技で、1964年の東京オリンピックを前に、日本サッカー協会(当時の正式名称は日本蹴球協会)は血眼になって日本代表の強化に取り組んでいた。日本代表が(1936年のベルリン・オリンピックを除くと)デットマール・クラマーさんの指導を受けるべく、初めて欧州遠征を敢行したのは、この年の夏だった。だが当時の日本には、サッカーをプレーした人だけでなく、実際に競技を見た人の数さえ、とても少なかった。

 そうした時代に、小学校の先生たちがサッカーを単に「足でボールをける変な競技」と考えたとしても不思議ではないし、大きな落ち度と言うこともできない。そして足でボールをけることと同時に、彼らの心を強く縛っていたのが、「手を使ってはならない競技」という強迫観念のようなものであったことも、想像に難くない。サッカーという競技を他の競技から際立たせている特徴は、「手を使わないこと」と、「頭でボールを打つこと」の2つであるからだ。

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