どんな競技であれ、対戦する両者の間には戦力の優劣がつきものだ。だが、時にはその戦力差が、違う意味を持つことがある。日本サッカーを取り巻く「非対称戦」をサッカージャーナリスト・後藤健生がつづる。
■全く違うチーム構成
最近は、代表同士の戦いでは日本が圧倒的に優位に立っている。だが、杭州での日韓戦は大部分の時間帯で完全に押し込まれてしまった。
Jリーグ発足前の日韓戦というのは、いつもこんな様子だった。なにしろ、1959年のローマ・オリンピック予選で1勝して以来(1勝1敗で予選には敗退)、15年間韓国に勝てなかった時代すらあったのだ。
だから、アジア大会の決勝を見て、僕は久しぶりに昔の日韓戦を思い出したのだ。
それもそのはず、である。代表同士とはいえ、チーム構成が全く違ったのだ。
アジア大会は本来は23歳以下の選手の大会だが、日本は毎回、次のオリンピックを目指すU-21代表で出場している。
杭州大会はもともと2022年に開催される予定だったのだが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で1年延期となったため、今大会の男子サッカーは24歳以下の大会となった。そして、多くの国が制限いっぱいの24歳以下にオーバーエイジ3人を加えたチームを派遣。韓国も、将来を嘱望される李康仁(イ・ガンイン)をはじめ、海外組を含めて制限いっぱいの最強チームを送り込んできた。